サイトポイント 犬のアトピーに効果ある?副作用は?1年半使ってみての感想

2020年1月29日

かわいい愛犬ルーシー

こんにちはニュージーランド在住のKikispetsです。

現在6歳の私の愛犬ルーシーは1歳でアトピー性皮膚炎と診断され、2018年の6月までありとあらゆる治療を試みました。

ステロイドのプレドニゾンに始まり、抗ヒスタミン剤、コルタバンス、そして薬断ちをして食事を変え体質改善を試みたりといろいろとしました。しかし、どれも一時的に痒みをコントロールすることが出来、改善した!と思ったのも束の間、また痒みの症状が出るという始末。

飼い主の私の方針もコロコロと変わり、やはり「薬は怖い」と思い始め、自然療法のみを施しても部分的に改善するのみですぐに痒みがぶり返したりしていました。

しきりに皮膚を掻きむしっているルーシーを見て、いったい何がルーシーにとってベストな治療法なのか?と常に自問自答していました。

そんな中、犬仲間に教えてもらった新薬「サイトポイント」を2018年の6月に初めてルーシーに投与して以来、ルーシーは、定期的な注射を受けることで長年悩まされた痒みから解放されたのです。

今回、1年半サイトポイントをルーシーの治療方法として取り入れてみて、気づいたこと、治療の効果、そして気になる副作用はあるのか?などについてもお話したいと思います。

*2020年5月12日に日本のゾエティス社のサイトが確認出来ましたので記事をアップデートしました。

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サイトポイント ゾエティスより発売

2019年9月に日本でもやっとゾエティス社より「サイトポイント」が販売されたことで、日本に住んでいるアトピー性皮膚炎で愛犬が苦しんでいる飼い主さんにとっては朗報だったことと思います。

私が住んでいるニュージーランドでは2018年からサイトポイントが販売され、私は2018年6月からルーシーのアトピーの治療法としてとりいれています。

サイトポイントって何?

では、この新薬「サイトポイント」ですが、今までのお薬とどう違うのか?お薬の特徴などをお話します。

お薬のお話で、間違った情報を載せたくありませんので、獣医さんのサイトより引用させていただきます。

抗体医薬(ロキベトマブ/サイトポイント)は

抗体医薬のロキベトマブ(商品名 サイトポイント)は、2019年に犬で認可された薬です。ロキベトマブはアトピー性皮膚炎のかゆみに関係する体内物質サイトカインの一つIL-31をピンポイントで抑えます。この作用が「抗体」という物質によるものなので「抗体医薬」と呼ばれます。      引用:本郷どうぶつ病院

さて、ここで「抗体医薬」って?と思われた方も多いかと思います。

まず、人間が健康でいられるのには「抗体」というたんぱく質がブロックの役割をし、もともと体内にはない異物を排除しているからです。つまり「抗体」は免疫システムの主役ですね。

「抗体医薬」は、この仕組みを利用した薬です。病気の原因となっている物質に対し、化学的に作られた抗体を注射によって犬の体内に入れ、病気の原因となっている物質をピンポイントで攻撃することで、予防や治療をおこないます。

素人の患者さんにも分かりやすくその仕組みを説明されている獣医さんのサイトがありますので、引用させていただきます。

サイトポイントがどのようにしてアトピーのかゆみに効くのか・・・

簡単に言うと、皮膚表面で起こったアレルギー反応から、神経細胞にかゆみを伝える信号物質である「インターロイキン(IL)-31」というタンパク質が放出されますが、このタンパク質をピンポイントに捕まえて仕事をさせないのです。引用:オークどうぶつ病院

サイトポイントのメカニズム
引用:zoetisjp

サイトポイントって安全?

寝ているLucy

飼い主さんが一番気になる点は、この新薬「サイトポイント」って愛犬に投与しても大丈夫?安全なのか?という点かと思います。そこで、

日本のゾエティス社のサイトが現時点(2020年1月29日)で一般向けにサイトポイントの情報を載せていないので、ゾエティス社の英語のサイトから引用したものを翻訳します。

*2020年5月12日現在でゾエティス社日本語サイトでサイトポイントの安全性について書かれたものを確認出来ましたので、引用します。

下記に出てくる用語”無作為化盲検試験”ですが、薬を評価するには、動物は症状を言葉で表したりすることは出来ませんので、人間が薬の有効性を判断します。その場合に薬を評価する人間の心理的要因(薬が効くはずだ、等)が判断に影響を与えてしまいがちです。なので、患者はもちろん医師にも検査対象物を不明にして行う方法です。

米国臨床試験(42日間)における安全性評価 ‒プラセボとの比較
(試験設計:米国の14の動物病院における犬アトピー性皮膚炎に罹患した犬を対象に、サイトポイント®の安全性評価を無作為化盲検試験により実施した。サイトポイント®群(162頭)にはロキベトマブとして1.0~3.3mg/kgを、対照群(83頭)にはプラセボ溶液を0および28日目に皮下投与し、42日目まで観察した。)

認められた有害事象の頻度はプラセボ群と同程度でした(掻痒を除く)。

サイトポイント®群の血液学的検査、血液生化学的検査および尿検査で投与に関連する有害事象は確認されませんでした。

膨疹や嘔吐、アナフィラキシー等の即時性の過敏性反応は認められませんでした。
引用:zoetisjp

サイトポイントの副作用は?長期で使用しても大丈夫?

Lucy

サイトポイントは注射をしてから24時間以内に効果を発揮し、約4週間から8週間持続します。なので、このお薬はアトピー性皮膚炎の根本的治療にはなりません。痒みを止めるお薬なので、定期的に獣医さんに通い注射を打ってもらうということになります。

そこで心配なのは副作用だと思います。

英語のゾエティス社のサイトから引用したものを翻訳します。

*2020年5月12日現在でゾエティス社日本語サイトでサイトポイントの安全性について書かれたものを確認出来ましたので、引用します。

注:下記の比較対象剤シクロスポリンは免疫抑制剤のことです。

欧州臨床試験(3ヵ月間)における安全性評価‒シクロスポリンとの比較

最もよく認められた有害事象は嘔吐および下痢であり、その発現率は、サイトポイント®群の方がシクロスポリン群よりも低いことが確認されました。

サイトポイント®群の血液学的検査値および血液生化学的検査値において、臨床的に意義のある変化は認められませんでした。

欧州臨床試験における長期投与(9ヵ月間)の安全性評価

欧州において、3ヵ月間の比較臨床試験のあと、 さらに6ヵ月間サイトポイント®が継続投与され、最長9ヵ月間の長期の安全性が確認されました。

投与直後の過敏性反応※(膨疹、嘔吐など)は認められませんでした。
※サイトポイント®の有効成分は蛋白質であることから、他の免疫学的製剤と同様、過敏性反応が生じる可能性があります。こうした反応が生じた場合は、遅延なく適切な対症療法を行ってください。

1頭で投与後に疼痛が認められましたが、注射部位反応(腫脹、発赤など)は認められませんでした。引用:zoetisjp

サイトポイントは新薬ですし、長期的年単位での使用データが少ないわけで、飼い主さんとしては不安材料の1つになりますが、私がルーシーの治療法として受け入れた理由としては、アポキルやステロイドと比べると、サイトポイントは、抗体医薬であり免疫抑制剤ではない、という点です。

*免疫抑制剤(ステロイド・アポキルなど)は免疫を抑制しますので、炎症を起こしやすくなり、白血球の減少などにも注意する必要があります。そのことから、私はアポキルを治療法として受け入れませんでした。

実際に愛犬ルーシーにサイトポイントを1年半投与してみて

ボールで遊ぶルーシー

ルーシーは2018年の6月からサイトポイント療法を始め、現在で1年半になります。

まず、気になる副作用ですが、ルーシーの場合は全くありませんでした。

元気がなくなるのでは・・・とか、下痢や嘔吐するのでは・・・と、最初の注射後はとても心配でしたが、現在までで約13回ほどの注射を接種していますが、一度もその症状は出ていません。

注射の効果ですが、即効性があり通常24時間以内に症状が緩和される、と言われていますが、ルーシーの場合は6時間ほどで痒みがおさまっているようです。

また、注射の効果期間についてですが、獣医さんからは、約4週間から8週間に一回の注射ね、と言われてましたが、ルーシーのアトピーは季節性(花粉など)があるらしく、時季によっては10週間くらいもったこともあります。

ルーシーは、サイトポイント治療を受けるまで、痒みのために散々掻きむしり、ステロイド外用剤の副作用によって皮膚も黒ずんでしまいましたが、特に他の治療法や薬を併用することなく、サイトポイントの注射をしたことで、数ヶ月後には皮膚も黒ずみは改善し肌がきれいになっていきました。

サイトポイントの欠点

サイトポイントの欠点は

  1. 定期的に獣医さんに行かなくてはならない。
  2. 根本的治療にはならない。
  3. 治療費が高い。

などですが、アトピー性皮膚炎のワンちゃんを飼っている飼い主さんでしたら、これらの欠点はなんということでもないのではないでしょうか?私もそうでしたが、痒みが止まらず、延々と皮膚を掻きむしる愛犬をみることほど辛いことはありません。愛犬もアトピーがひどい時期は本当に辛そうです。

一度、ルーシーがかゆみ出したのにすぐに獣医さんに行けなかった時があったのですが、その時の元気がないルーシーを見て、「ああー、そうだった。アトピーで苦しんでいたときは、毎日がこんな顔をしていたな・・・」って思い出したのです。

サイトポイントは、根本的治療にはなりませんが、現段階ではアトピーのための有効な根本的治療法がないのですから、仕方がありません。

最後に治療費ですが、これは獣医さんによって、そしてお住まいの地域によってもお値段は違ってくるかもしれません。そして、犬の大きさによっても違ってきます。大きい犬の場合は投与量が必然的に増えますので。

ちなみに私の住んでいるニュージーランドの獣医さんは、薬代だけでいいよ、と言ってくれそれに甘えています。小型犬で体重4.6キロのルーシーの場合は、NZ$73です。そのかわり、ハロー→触診・体重図り→注射→バイバイ、と言った感じで5分くらいの短い診察です。しかし、薬代だけしか請求しないのに、触診までしてくれて本当に良い獣医さんに巡り合えて良かった!と思っています。(たぶん、家の近くの獣医さんに行くのを止め、車で15分くらいのところまでわざわざ行っているということもあるのかもしれません。今度、なぜ家の近くの獣医へ行くのを止めたのか、についてもお話しますね。)

まとめ

日本でも2019年9月から犬のアトピー性皮膚炎の新薬「サイトポイント」が販売されたことで、アトピーで苦しんでいる愛犬をかかえる多くの飼い主さんにとって期待の新薬と言えると私は思います。(治療の効果に個体差はあるかもしれません。)

もちろん、薬に頼らなくて済むのでしたら、それに越したことはありません。しかし、
目の前でQOL(生活の質)が低下し、痒みに苦しむ愛犬を見ていたら、薬は絶対いや、というのは飼い主のエゴなのではないのか、と私は思ってしまったんですよね。

もちろん、今でも小さな膿皮症ができたときなどはラベンダー精油で治したりして、常にルーシーにとってベストな方法を選択しているつもりです。

今後もアトピー性皮膚炎で苦しむワンちゃんをお持ちの飼い主さんのために、私がルーシーの治療を通して経験したことを発信していきたいと思います。

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