更年期障害かと思ったら慢性副腎疲労と診断されたが副腎機能不全とはどう違うのか?

孤独

こんにちは。ニュージーランド在住のKikispetsです。

私の友人はアラフィフでバリバリのキャリアウーマンですが、ここ数年「疲れが取れない」「ホットフラッシュがすごい」「イライラする」という症状に悩まされ、海外に住んでいる私の目にも疲弊している様子が明らかでした。私たちは彼女の症状と年齢からしても更年期障害をまず疑いました。

何軒もの医者を渡り歩いた結果、更年期障害、そして副腎の数値がよくなく、「慢性副腎疲労症候群」と診断されました。

2020年2月20日現在、半年に渡る治療を受けたにも関わらず、副腎の数値が回復してないことから、私はいろいろと調べたところ、「副腎機能不全」という病気があることを知ります。

また、医学的には慢性副腎疲労は、副腎機能不全とは異なり、医学的に確立された疾患ではない、ということが分かりましたので、ここでまとめて説明したいと思います。

注:私は医者ではありません。友人のために私が調べたことをまとめて書いてあります。

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「疲れがとれない」「ホットフラッシュ」「イライラする」「記憶障害」などの症状

 

漢方薬

アラフィフの女性で「疲れがとれない」「ホットフラッシュ」「イライラする」などの症状が出たら誰もが更年期障害を疑うでしょう。

友人の症状も更年期障害のそれにとても似ており、彼女も相談を受けていた私も更年期障害だと思い込んでいました。

まず彼女は、婦人科を受診し、漢方薬の当帰芍薬散などの漢方薬を処方されました。しかし、一向に良くならずそこからはありとあらゆるものを試しました。

「命の母」に始まり、大豆イソフラボンを発酵させて作られた成分「エクオール」、豆乳、納豆などなど。

(友人は乳がん検診で何度か引っかかっている現在経過観察状態なので、ホルモン治療(HRT)はしない方が良い、というアドバイスを医師から受けましたのでその選択肢はありませんでした。)

しかし、どれを試しても効果が全く出ず、症状が辛い中、友人は日帰り出張などもこなし、仕事はとてもハードでした。

そんなある日、仕事で行きなれた得意先に行く途中で自分が一体どこを歩いているのか全く分からなくなり迷路に迷い込んだような気持ちになったそうです。

彼女は、更年期障害の1つ・記憶力の低下だと判断し、植物性のエストロゲンクリームなら、HRTより乳がんの危険性は下がるのでは、と思い、クリームを処方してくれるクリニックを見つけて試しました。

更年期障害と慢性副腎疲労症候群と診断される

植物性のエストロゲンクリームを処方してくれるところとなると、保険適用外の自由診療になります。治療費も高額になりますが、彼女は「藁をもすがる思いで、探し出したクリニックだ」と言っています。

クリニックでは、細かいレベルでの血液検査が行われ、結果ビタミン・ミネナルなど全ての項目において数値が悪く「栄養失調」状態。プラス、更年期障害、そして副腎の数値が良くなく、「副腎疲労症候群」と診断されました。

慢性副腎疲労と診断後の治療法

まず処方されたのはビタミン剤で、生活習慣のアドバイスなども受けたそうです。

そして、同時期に眩暈やたちくらみ、重度の疲労感で、会社に行くのも困難になってしまい、医者の薦めもあり彼女は休職することにしました。

友人の仕事は出張も多いストレスフルな仕事でしたので、休職したことで治療開始から数ヵ月後、副腎の数値は少し回復してきていました。

しかし、1年経っても数値は乱高下をし安定しませんでした。半年後には不安感が高まりそこの医師の薦めもあり、心療内科を受診することとなりました。

慢性副腎疲労と副腎機能不全の違い

副腎機能不全

心療内科でお薬をもらい始めてからは気分が落ち着いているようでした。(薬が効いているので当たり前ですが)

しかし、一向に副腎の数値は回復しません。

そこで、いろいろとネットで医療関係者のサイトや患者のブログを読み漁り始めると、ある衝撃的な事実が分かります。

医学的には慢性副腎疲労は、副腎機能不全とは異なり、医学的に確立された疾患ではないということです。
つまり、違いとしては「慢性副腎疲労」は厚生労働省は承認しておらず、「副腎機能不全」は厚生労働省が承認した疾患ということです。

これを知ったときは、えっ?!本当?!と驚きました。

なぜなら、多くの医者、そしてメディアが(それも大手のいわゆる信頼置けそうな媒体)「慢性副腎疲労症候群」と謳っているのです。

なぜなのか?「慢性副腎疲労」と「副腎機能不全」の違いは何なのか?について更に読み進めていきました。

副腎機能不全とは・アジソン病とは

副腎機能不全

まず始めに、これは医者ではない私が理解したものをまとめたものであり、引用部分は引用先を明記する、ということをはっきりしておきます。

副腎機能不全とは:

副腎は左右腎臓の上部にあり、ホルモンを分泌している内分泌器官です。外側の副腎皮質と内側の副腎髄質とに区別され、副腎皮質からはいわゆるステロイドホルモンと呼ばれている糖質コルチコイド鉱質(ミネラル)コルチコイドおよび性ステロイドを、副腎髄質からはアドレナリンを代表物質とするカテコールアミンが分泌されます。

これらのホルモンが十分に分泌されない場合に副腎機能不全が起こりますが、主に糖質コルチコイドおよび鉱質(ミネラル)コルチコイドが欠乏すると症状が出現します。

引用元:済生会 市野 功 (福岡総合病院)

 副腎機能不全の原因と治療法

副腎機能不全は副腎自体に原因がある「原発性副腎機能不全」と、脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌不全が原因である「続発性副腎機能不全」に分けられます。

原発性副腎機能不全の原因は、自己免疫による炎症、結核などの感染、両側副腎出血、乳がんや肺がんなどの悪性腫瘍の副腎転移などがあります。慢性的に副腎全体の機能が低下したものをアジソン病といいます。先天性副腎過形成などの先天的な副腎機能不全もありますが、頻度はまれです。

ACTHは脳下垂体より分泌され血流を介して副腎皮質を刺激しているホルモンです。間脳下垂体に発生する腫瘍、炎症、頭部外傷などで分泌が低下し、続発性副腎機能不全を引き起こします。治療には、欠乏したホルモンを内服薬や注射で補充する「ホルモン補充療法」を行います。

引用元:済生会 市野 功 (福岡総合病院)

私が調べていく上で一番混乱したのが「アジソン病とは違うのか?」という点ですが、↑こちらの病院のサイトはとても分かりやすく説明されていると思います。

簡単に私自身の理解の整理の意味も含めてこんなフローチャートを作ってみました。

副腎機能不全

また、副腎機能不全は副腎皮質機能低下症とも言われるようです。

副腎機能不全(副腎皮質機能低下症)の症状

原発性・続発性副腎皮質機能低下症に共通の症候

  1. 易疲労感,脱力感
  2. 食欲不振,体重減少
  3. 消化器症状(悪心,嘔吐,便秘,下痢,腹痛)
  4. 血圧低下(アルドステロン欠乏も関与)
  5. 精神異常(無気力,嗜眠,不安,性格変化)
  6. 発熱
  7. 低血糖症状
  8. 筋肉痛,関節痛
  9. 女性の腋毛・恥毛の脱落(副腎アンドロゲン欠乏による)

原発性のみに認められる症候

  1. 色素沈着(歯肉,関節,手の甲,爪床,乳輪,手術痕などに顕著)

引用:日本内科学会雑誌第103巻第4号 PDF「副腎皮質機能低下を早期診断・治療するために」

慢性副腎疲労とは

病院

最初にお話したように「慢性副腎疲労」という概念は、医学的には「副腎機能不全」と異なり、医学的に確立された疾患ではない、つまり厚生労働省が承認していない疾患ということです。

しかし、「慢性副腎疲労」と検索をかけると、たくさんの医者が病院がクリニックが「慢性副腎疲労症候群」を診療内容に入れています。

ある病院のサイトでは「副腎疲労症候群検査は、慢性疲労の原因となる副腎疲労の状態を血液と唾液で評価する検査 35,000円」という内容が記されていました。

料金がこんなに高いのは自己負担の「自由診療」だからです。自由診療とは、厚生労働省が承認していない治療、という意味です。

私は自由診療を否定する気は全くありません。

実際に、漢方やビタミン、生活スタイルの改善などで症状が回復する場合もたくさんあると思います。「慢性副腎疲労症候群」もそれらで改善されるのでしたら、素晴らしいことです。

ただし、この「慢性副腎疲労症候群」にとても似た症状で「副腎機能不全」という病気があります。

また、「慢性副腎疲労症候群」と謳っている病院がきちんとした検査(副腎機能不全を診断する負荷試験など)をしているのでしたら、全く問題ないと思いますが、多くの病院がしていないようです。

「副腎の数値がなぜ悪いのか?」
この原因の詳細を検査できないような病院では、「副腎機能不全」という病気を見落としてしまいます。そして、それは症状を重篤にしてしまう危険性があると私は思います。

友人のクリニックでは、血液検査でDHEAとコルチゾール値のみで診断され、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の数値は検査していません。これを知った時点で、私の頭の中ではアラームベルが鳴り出しました。

そして、この状態が1年以上続き、現在、副腎の機能は一進一退で回復していません。それにも関わらず、依然として「もう少しDHEA(サプリ)を飲み続けましょう」と言われ、腸内環境を整えるべく整腸剤が処方されるのみです。

まとめ~今後の治療方針

今後の治療方針としては、まず始めに「内分泌科、特に続発性副腎機能不全を専門としている医師を探し受診」だと思います。

しかし、「慢性副腎疲労症候群」だと診断され、クリニックの医師に信頼を寄せており、少しの変化も不安に感じる彼女にこの情報を提供し、セカンドオピニオンとして内分泌科で受診してもらうことは、かなり難しい、というのが正直なところでしょう。

「副腎機能不全」の中の「原発性慢性副腎皮質機能低下症(アジソン病)」は国に難病指定されているように、深刻な病気です。命に関わることです。

なのに、なぜ多くの医者が「副腎の数値が悪い」と分かった時点で、きちんとした検査をしないのか?また、自分の専門外ならば、なぜ紹介状を書かないのか?が疑問です。

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