「コンビニ人間」村田沙耶香 を読んでの感想

2016年11月4日

こんにちは、ラン(@kikispets)です。

読書好きの私の為に、日本に住んでいる友人が話題作を時々送ってくれます。
先日、その友人が村田沙耶香さんの作品で芥川賞受賞作「コンビニ人間」が掲載された文芸春秋をプレゼントしてくれ、早速読んでみましたので、今日はその感想を書きたいと思います。

スポンサーリンク

「コンビニ人間」村田沙耶香 あらすじ

今回の「コンビニ人間」は、2016年7月19日に第155回芥川賞受賞をしたことでかなり話題になりましたので、私も早く読んでみたいなぁ。と思ってました。まずは、簡単なあらすじ、そして少々のネタバレも含みます。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。

引用:BOOKデータベース

「コンビニ人間」の感想

芥川賞は基本、純文学に与えられる賞なので、私的にはなかなか馴染めない本が多いのですが、こちらは読み始めて一気にノンストップで1時間ちょっとで読み終えてしまい、正直とっても面白かったです!

まず、主人公の古倉恵子。小さい頃からちょっと「変わった子」。例えば小学校でクラスメイトの男の子二人が取っ組み合いのけんかをしていて、皆が「とめて~!」と叫んでいる。そうか、止めるのか、と思った彼女は近くにあったスコップを持ってきて、喧嘩している男の子の頭を殴る。彼女にしてみれば、傷つけたいと思ってしたのではなく、喧嘩を止めるにはこの方法が一番効果的、と思ってしたのです。いわゆる、とても合理的であるとともに想像力にかける性格。

そんな彼女がマニュアルがきちんと用意されてるコンビニで働き始めることによって、はじめて”世界の部品になることができた”と思うのです。そして、同僚の話し方や服装を真似ることで、上手く周りに迎合し職場での人間関係は良好。

ただ、そんな彼女も36歳になり、未婚でアルバイトというマイノリティ的状況を、結婚して子供を産んでる妹や昔からの友人であるマジョリティはもちろん放っておきません。

そこで、もう一人のマイノリティである白羽という35歳の男性がコンビニのアルバイトとして登場します。古倉恵子と殆ど同じ立場にあるのに、男尊女卑的で被害者意識が強くかなり上から目線。

読んでいてこの白羽にものすごい嫌悪感を覚え、こんな男が身近にいたらすぐ距離置く!と思ってしまいましたが、一方でこの白羽という男の言ってることに一理もあるので読み続けることに。

この世界は異物を認めない。僕はずっとそれに苦しんできたんだ。

私は、この一言でこの白羽という変な人間も少し面白いなぁと思えたのです。

白羽と出会い、古倉恵子はお互いの利害関係の一致を見出し、一緒に暮らし始めます。そうすることで彼女は、マイノリティであるが故の面倒や不快を合理的に取り除こうとするのです。

さて、その策は功をなすのか?主人公の人生はマジョリティ化するのか?

私は結婚はしてますが子供はいませんので、マイノリティだと思います。周りから幾度となく「いつ産むの?」と言われましたし「子供も産まず何やってるんだか。」と人間失格的なことを言われたこともあります。また、私の友人には独身者も多く、彼らも常日頃から「一度結婚してみたらいいよ。」などと、マジョリティの方々が要らぬアドバイスという名の刃物を彼らに振りかざします。

なので、私自身は主人公に共感できましたし、それと同時にこの作品が「私達のまわりにある日常の狂気」を描き出してくれたことに爽快さを感じました。また、作者はこの日常の狂気をとてもユーモアに描いていて、声を出して何度も笑っていましました。ほんと、面白かったです!

芥川賞の受賞インタビューの中で、人間の変なところや変な人も面白いと思えるとおっしゃってましたが、村田沙耶香さん自身が何事も客観的に物事を見ることが出来て、人間が好きだからこそ、作品中の白羽のような最悪なキャラクターでも面白く見えてきてしまうのだと思います。

村田沙耶香ってどんな人?

名前:村田沙耶香(むらた さやか)

年齢:37歳

出身:千葉県

最終学歴:玉川大学文学部

デビュー作:「授乳」(2003年) 群像新人賞受賞

代表作:「ギンイロノウタ」(2008年) 野間文芸新人賞受賞

「しろいろの街の、その骨の体温の」(2012年) 三島由紀夫賞受賞

「コンビニ人間」が掲載された文芸春秋、発売前になんと5万部の増刷がされたそうです。

文芸春秋のインタビューで仰ってましたが、小さい頃から本が好きでミステリーや新井素子さんなどのSFを読みはじめ、空想癖もありロマンチックな話に憧れて「少女小説家になりたい」と思い小説を書き始めたそうです。

山田詠美さんの作品に影響されるとともに、小説を書きたいけど書けないという辛い時期を過ごし、後に芥川賞受賞作家の宮原昭夫さんのワークショップに参加し、2003年の「授乳」で群像新人賞を受賞します。

参考:文芸春秋

主人公の古倉恵子と村田沙耶香さんは似てる?

なんと言っても、この「コンビニ人間」が話題になった理由の1つに村田沙耶香さんが実際にコンビニでバイトをしているという事実だと思います。

そして、彼女も主人公と同じ歳ごろで独身女性コンビニでアルバイトというスペックなので、読者の中には自身をモデルにしてるのか?と思われた方もいるようですが、村田さん自身はインタビューで「主人公と私は、全く違いますね。」と言ってます。私はもちろん個人的に村田さんのことは知りませんが、少なくとも主人公のように想像力に欠け合理的な性格ではないと思います。村田さんはとても客観的に世間を見ていると思いますし、また、想像力がない人は絶対に作家にはなれないですよね。

まとめ

世の中「白と黒」だけではない、人にはそれぞれの事情がありそれぞれの思いがあるのだという事を、現代に問題提起しているのは、なんとも皮肉であり、さすがだなぁ、上手いなぁ、と思いました。

あなたがマイノリティでもマジョリティでも、読んでみる価値絶対あります!

私にとっては、静かに怖くって、面白くって、そして考えさせられる作品でした。

スポンサーリンク